映画大好きのA子さん、2Fブラウジング・コーナーで書評紙の頁を繰っていて、こんな新刊本の書評を見つけた。『先に抜け、撃つのは俺だ』。タイトル(実はダーティーハリーの台詞「Go ahead , I'll make my day」から取った)に惹かれて記事を読むと、評論家の四方田犬彦と、『月はどっちに出ている』をプロデュースした季鳳宇の対談集とある。これはぜッタイ読んでみたい!

さっそく購入希望図書の申し込みをするA子さんであった。手続きはいたって簡単。2F新着図書コーナーの横にある「購入希望図書申込書」に必要事項(氏名・学籍番号はもちろん、書名・著者名も忘れずに)を記入し、備え付けの箱に入れるだけでOK!

2Fメインカウンターの係員が申込書を回収し、すでに所蔵してはいないか、発注済みか、書誌事項に間違いはないか、などをチェック。ところで、図書館ではどんな本でも希望通りに購入、というわけには行きません。大学図書館の蔵書として相応しくないと思われる場合は、残念ながら謝絶します。

利用者が普段目にすることのない1F事務室。ここでは、札大図書館というシステムを支える様々な業務が日夜職員の手で遂行されているのであった!購入希望は、2Fの係員から1Fの発注・受入れ担当者へ渡され、ここで『先に抜け、撃つのは俺だ』をはじめ、大量の発注データが作成されて各書店に発注されます…。

…そして納品。納品された『先に抜け、撃つのは俺だ』は、予算処理、登録番号の付与、蔵書印の押印などの受入れ手続きを経て、大学の資産となり、晴れて札大図書館の蔵書の仲間入りをします。しかし、これだけでは、まだA子さんの手元には届きません。

受入れが済んだ『先に抜け、撃つのは俺だ』は、次に図書係に回され、ここで、目録データ(利用者が蔵書検索システムで見ているデータがこれ)が作成され、請求記号(本の背のラベルに書かれている)を与えられて、排架場所が決まります。この目録業務は、国内ほとんどの大学図書館が接続している学術情報センターの目録データベースにオンラインでアクセスして行われています。そして最後に装備、つまりラベル貼付など蔵書のメイクアップです。この作業が済んではじめて、『先に抜け、撃つのは俺だ』も立派に蔵書と呼べる状態になったわけです。

さて、ある水曜日、A子さんは2Fの購入希望図書連絡コーナーに『先に抜け、撃つのは俺だ』の連絡票を見つけました。メインカウンターで目当ての本を借り出したA子さんには、しかし、この本がこんな過程を経てきたことを知る由もありません。(毎週水曜日、新しく利用可能になった蔵書が2F新着図書コーナーに排架されます。購入希望図書は、希望者に通知した後、1週間、メインカウンター内で保管されます。)