University of Pennsylvania Van Pelt Library の紹介

       経営学部教授  森  杲


 ニューヨークから列車で南に一時間半、フィラデルフィアという町のペンシルヴェニア大学にきています。12の学部(スクール)で、図書館も15もあるのですが、今日はそのなかの中央図書館というべきヴァン・ペルト・ライブラリーを紹介しましょう。

 6階建てのこの図書館に、ペン・カード(身分証明書)をさしこんで玄関のバーをクリヤして中に入ります。このカードはプリペイド・カードにもなり、これを使ってコピーをとったりします。1階には新着雑誌や新聞、参考図書の広いスペース、レファレンス・サービスや本の貸借・返却(返却ボックスに入れるだけ)のコーナー、それに数十台のパソコンがあります。私はニューヨークで印刷される朝日新聞なんかをそこで読んでから、書庫がある3階以上にエレベーターでのぼります。

 ペン大図書館の蔵書数は全部で450万冊余り、マイクロフィルム240万点、雑誌資料などの定期購読が3万3000点。本は毎年11万冊ずつくらいのテンポで増えているそうです。(ほかに最近、コンピューターに納めるデジタル・ライブラリーにも熱を入れています。)完全開架ですから、学生も教員もみな書庫に入りこんで本を探すわけです。目当ての本を探しているうちに、自分が知らなかった関連図書が近所にわーっとあるというのが、こういう大図書館の大きな魅力ですね。

 本がこれだけ大量だと、パソコンで検索をうまくやる技術がかなり決め手になるので、新学期(セメスター)ごとに行なう図書館案内ツアーに参加してみましたら、一時間のガイドのうち30分くらいは、会議室で具体例をスクリーンに映しながらパソコンを駆使して図書や最新の資料を早くキャッチする仕方の説明でした。

 図書館は日曜日も含めてふつうは、夜中の12時まで(金・土だけ9時まで)開館されています。アメリカの大学生は月曜から金曜までは宿題や予習がびっしりですから、夜おそくまでかなり図書館を使っています。

 書架がびっしり並んでいる3階以上のフロアーにも、机やパソコンが随所にありますがそのほかにソファーや肘掛椅子が配置されているスペースもあって、ゆったりした椅子に座って本をながめていると、昔から英語を見ていると必ず眠くなる私はいつのまにかぐっすり。まあ、私に限らず、この快適な場所で眠りこけている学生は多いです。

 書架からあれやこれやと取り出した本は、けっして自分で棚に戻さず、近くのカウンターに置かなければなりません。各階にいる職員(アルバイトがかなり多い)がいつも歩き回って、それを書架に正しく戻していきます。

 そのアルバイトのことですが、合衆国では連邦政府のワーク・スタディ・プログラムによる補助金をもとに、たくさんの学生が大学内でアルバイトができるしくみみになっています。その職種は、学部別に教育助手やコンピュータ助手のようなものから構内の改築工事、清掃にいたるまで数百種類はあるでしょう。そのなかに図書館で正規職員の補助をする仕事もあるわけです。時給は基準で700円くらいの見当と聞きました。

 いまちょうど、期末のレポートに学生が忙しい時期ですが、図書館には「期末レポート用文献のアシスタントをします」という広告が貼ってあります。これにも図書館の専門職員ばかりでなく、アルバイトの大学院生などが威力を発揮しているそうです。