日米関係や政治学を専門とする著者が、日米首脳会談に焦点を当て、日米同盟関係の不均衡を考察するのが本書です。吉田茂首相とアイゼンハワー大統領、岸信介首相とアイゼンハワー大統領など5つの日米首脳会談の例から戦後の日米首脳会談の実態を浮き彫りにします。全国及び道内の主要書店等で取扱中です。
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『日米首脳会談と戦後政治』
著者:浅野一弘
定価3,360円(本体3,200円+税)
2009年3月、同文館出版
【著者から】
2009年2月24日、麻生太郎首相とバラク・オバマ大統領とのあいだで、日米首脳会談が開催されました。この会談は、1951年9月4日におこなわれた、吉田茂首相とハリー・S・トルーマン大統領による顔合わせ以降、都合104回目となる首脳会談でした。このように、戦後、日米両国のあいだでは、数多くの首脳会談がおこなわれてきました。しかし、その実態を詳細に検証していくと、そこからは、日米「同盟」関係の不均衡な現状が浮かび上がってきます。たとえば、104回の首脳会談のうち、米国でおこなわれたものは、実に、61回にもおよんでいます。他方、日本で開催された首脳会談は、わずか16回しかありません。しかも、その16回の会談のうち、首脳会談そのものを目的として、米国大統領が来日したのは、5回だけです。そのほかは、サミット(主要国首脳会議)への出席がメインであったり、葬儀への参列が主目的であったりした来日でした。
こうした日米関係の不均衡な状態を考察したのが、本書です。本書では、吉田首相とドワイト・D・アイゼンハワー大統領による首脳会談、岸信介首相とアイゼンハワー大統領による会談、佐藤栄作首相とリンドン・B・ジョンソン大統領による会談、佐藤首相とリチャード・M・ニクソン大統領による会談、三木武夫首相とジェラルド・R・フォード大統領による会談を対象として、日米首脳会談の実態を浮き彫りにしています。さらに、沖縄返還の合意をみた佐藤・ニクソン会談の一方の主役である、政治家ニクソンの人物像を明らかにするため、その生涯を記した補論も付しています。(浅野一弘)
【著者紹介】
浅野 一弘(あさの・かずひろ)
札幌大学法学部教授。1969年大阪市生まれ。明治大学大学院政治経済学研究科政治学専攻(博士後期課程)単位取得退学。専攻は日米関係論、危機管理論、政治学。
主著に『現代日本政治の現状と課題』(同文館出版、2007年)、『日米首脳会談の政治学』(同文館出版、2005年)、『現代地方自治の現状と課題』(同文館出版、2004年)、『日米首脳会談と「現代政治」』(同文館出版、2000年)など。 |