札幌大学では、地域に開かれた大学を目指し、教育研究上の成果を広く地域住民の方々に還元することを目的に公開講座を開設しています。
英語の学習熱はどんどん高まり、さめる気配はないようです。誰もが英語を使えるようになりたい気持ちに違いはないでしょう。でもなかなか思うように上達しません。地道にコツコツ積み上げる方法がやはり近道と言われていますが、認知言語学をはじめ、色々な研究成果がある現代では、英語学習の本質に関わるコツのようなものがあるはずです。
本講座「英語の発信力を強化するレッスン」は人々の英語学習熱に対して「なるほどそうだったのか」と膝を打つような感心と共に、学びと英語習得の喜びをお届けすることを目的にしています。具体的には、学習者の皆さんの英語力の基礎から発信までを一助となることが目標です。
英語の学び方に悩んでいる人々に効果的な手法をお伝えすることで、少しでも希望の光をお届けできればと思っています。
この公開講座では、川端康成の『雪国』の冒頭の「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」という表現とその英語訳の "The train came out of the long tunnel into the snow country."という表現の違いから、日本語話者は場面の中にいて、直接体験していることを見えているまま表現するのに対して、英語話者は、出来事全体を客体化して捉え、場面の外から見ている感覚で、ナレーターのように表現するという特徴をもっており、この視点の違いが日本語と英語の表現の根底にあることをお話します。
そして、この違いが、「頭が痛い」のように日本語話者は「私は」を表現しないのに対して、英語話者は "I have a headache."のように必ず 'I'を発話することで、自他分離を司る右脳の「下頭頂葉」を刺激するために、右脳の機能の1つであります「第三者視点」となることに起因していることをお話します。
また、英語話者は、母語習得の過程で 'I'を習慣的に発話することで主語の概念を確立し、脳の中に「主語」「目的語」のスロットが形成され、そのスロットに語句を埋めるように話をすることをご説明し、私達の英語学習でもこのスロットを形成することがとても重要であることをお話します。
後半では、英語話者が右脳を活性化することから見えてきます英語の特徴として「出来事のイメージ化」を取り上げ、このことが英語を使いこなすために重要であることを具体的な例を挙げて解説いたします。
今回の講座では「北海道の食・観光」にまつわる諸問題を取り上げます。北海道では食産業と観光産業を戦略的産業と位置付けて重視しています。特に、食を含めた観光分野は、インバウンドを含めた道外の人々から大きく期待されています。とはいえ、コロナ禍を経て、北海道以外の地域も観光客の取り込みに本腰を入れています。そこで、北海道および道内の複数の自治体では他の観光地との競争に対応していくために、宿泊税の導入が予定されています。一般的に増税され価格が上昇すると需要は減少しますが、観光サービスの場合はどうでしょうか。経済学的な観点から宿泊税がどのような意味を持つのか、考えていきましょう。
なお、本講座の内容は札幌大学経済学系の西村直樹教授、平井貴幸准教授との共同研究の一部を転用したものです。