このコーナーは、本学の学生や関係者をはじめ、サイトを訪れる方々に優れたアートやカルチャーに触れていただく機会を提供する企画です。
今回はその第1回目として、本学の卒業生でもある風景写真家の高橋真澄氏の風景写真をご覧いただきます。丘をはじめとする美瑛・富良野の自然風景を独自の感性で表現した写真を撮り続けている高橋氏の作品をぜひご覧ください。
札幌大学の卒業生(1982年経営学部卒業)である高橋さんが、北海道の山を中心に撮影を始めたのは、本学在学中の頃でした。大学卒業後は、会社勤めを経て、風景写真家として独立されました。
現在、札幌大学では高橋さんの作品2点を学内に展示しています。
中央棟1階フロアに展示。2021年11月、新校舎SUcole(スコーレ)の完成に際し、ご寄贈いただいた作品です。
4点の作品を6号館新特別応接室に展示。
2022年3月、上富良野町にある高橋さんのアトリエ「ノースランドギャラリー」を訪問し、大学時代の思い出や現在のお仕事についてお話を伺いました。
▲ 大学の頃を思い出しながら笑顔でインタビューに答える高橋真澄さん。
▲ ご自身の作品「丘の虹」の前で。上富良野町は気候的・地形的に虹の出現率が高く、高橋さんも虹を撮影する機会が多いそうです。
札幌大学在学中の思い出
とにかく、自由に過ごせたことが大きかったですね。大雪山をはじめ、北海道の山にたくさん登り、時間を気にせずキャンプしていました。朝早く起き、授業前に札幌岳や空沼岳に登ることもありました。大学3年か4年の頃には、全国を回り、北アルプスにも登りました。
経営学部では、学内にあったマシンでパンチカードを走らせていたことをよく覚えています。コンピューターが導入される前の時代でした。勉強だけでなく、アルバイトをしたり、幅広い分野の友人たちと関わったりと、自由にバランスよく経験値を上げることができたのは、今思い返してみると大変貴重な時間でしたね。
風景写真家の仕事について
山に登り、きれいな風景を前にした時、この景色を残したいと思い、絵が描けないので「ならば写真で」とカメラを手にしたのがきっかけです。すべて独学で学び、40年以上この仕事を続けています。好きだからこそ続けられているのだと思います。
風景という概念は海外にはありません。海外ではNature(自然一般)となります。キリスト教などの絶対神の考え方をベースとしているので、根源的で厳かなものと捉えられます。Natureの概念で撮る写真は、誰が見ても同じように理解できるということが大切なので、視覚的にわかりやすい「キャッチ―」なものになります。一方、日本の風景の概念は、わびさびであり、優しく、しみじみと共感できるものです。私が撮る雪の風景写真は、北海道に住んでいる方が見れば、自分の経験を踏まえ、想像力を広げながら見ることができますよね。もちろん、色や形が好きだというNature的な観点で見ていただいても結構ですが。
300年先も残る宝のような作品を撮りたいと思いながら、日々活動を続けています。
札幌大学の後輩に向けたメッセージ
大学在学中に「自分が本当に好きなこと」を見つけられると良いですね。それが卒業後、さらには一生の宝となり、自分の人生を支えてくれる大事な基盤になると私は感じています。
好きなことがなかなか見つからない方は、いろいろなものに触れ、バランス力を鍛え、自分を客観的に見つめてみてはいかがでしょうか。
大学の4年間というのは、光り輝く尊い時間です。ただ、その光があまりにまぶしいので、自分ではその尊さに気づくことができないのです。失敗しても必ず次があります。自信を持って積極的にチャレンジしてください。